秩父 長瀞「天然氷」阿佐美冷蔵
第6回 TIA研修会報告   平成13年2月18日(日)取材

蔵元の氷室の様子から採氷所までをレポート!
蔵元所在地  埼玉県秩父郡皆野町大字金崎27−1  TEL/FAX  0494−62−1119
「氷画工房」のあるお店は、国道140号線沿いからほんの少し奥に位置していましたが、
そこを1歩入ると昔懐かしい木の冷蔵庫や素敵なオブジェの飾られた廊下、
蔵元と書かれた弓張り提灯、そして庭にある小さな池など、どれもがそのまま長閑な雰囲気を
出しているかき氷のお店でもありました。
  
切り出しに使っていた”のこぎり”   懐かしい木製の冷蔵庫   かき氷の器械の原型の道具
                                         かんなのかき氷器
かき氷のお客さんは、 2万人
天然氷の氷室のあるお店には、夏場はかき氷を食べに来るお客さんが
たくさん訪れるそうです。1年中食べれます。
一昨年は、6,000人訪れたが、昨年は2万人までテレビや口コミで増えたそうです。
まろやか味わい
自分も食べました。我々の扱ってる”純氷”との違いは、まろやかさだと思います。
素直な舌触りですね。すーっと喉に吸い込まれる自然な感じがしました。
天然氷の溶けた水での水割りも最高でした。・・・・・・・2日酔いしてましたが忘れるほどです。(笑)
我々氷屋仲間みんなが「美味しい!」と、絶賛してました。・・・天然氷に勝るものはない!

  
写真左・・・かき氷を作っている阿佐美さんとそれを食べてる人は、みな氷屋!不思議な光景?
写真中・・・メニューは、あずき・いちご・コーヒー・梅酒・ぶどう酒の5種類で各500円です。
写真右・・・これは、美味しい「あずき」。ふんわりさくさく感が最高!真冬でも十分満足!!

氷室は、許容150トン
氷室を覗かせてもらいました。
昔ながらの木造の大きな蔵に電気を引いて通常マイナス4度に設定した氷室がありました。
扉を開けると今年の1月16日に採氷された氷が収められていました。
天然氷は、年間限定生産40トン
150トン収められる氷室ですが、年に1回のみの採氷で40トンの生産のみだそうです。
割りあい寒い日が多かった今年(平成13年)の気象状況ならば、
年3回の採氷が可能という話ですが、製氷・販売の仕事だけではなく
他にもいろいろしたいとの阿佐美さんの理念があるそうです。
実際に氷を題材に版画や写真展などを数々開催し、多くの賞を受賞している芸術家です。
 
氷室には、今年採氷した40トンの天然氷が2段積み!   おしゃれなデザインの袋づめ加工氷も
氷そのものは、意外に白く見えました。
採氷所のプールは、3つ
氷室のある場所から車で5分ほど走ると長瀞第一小学校の校舎の見える
長閑な田園風景を一望出来る所でした。
そこからさらに歩いて15分ほどの山の中腹ほどの場所に採氷所がありました。
約10メートル×15メートルほどの大きさのプールが段々畑のような格好で3つ、
つながっていました。現在は、2つのプールのみを使用してるそうです。
このプールは、昭和6年に作られたもので、毎年紅葉の終わる10月から部分修理や掃除をし、
この作業が終わってから本作業の水を張り始めて約1ヶ月を費やし、天然氷が造られるそうです。
2トン車で搬送
採氷所から天然氷を搬送するのは、そう広くない山道ですから大変な作業ですね。
2トン車で氷室のあるところまで運んでるそうです。重いものですからね。
切り出し作業も大変でけど搬送作業も大変だろうなぁ?って思いました。
 
天然氷の採氷所には・・・
氷の上には、この間の雪が積もっていました。林に囲まれていて日中でも少し暗めです。
雪の下に出来てる氷は、もう使用しません!!・・・・・もったいない!!今年は、もう終わり!
周りの林の木々が、水のためには、落葉樹の方がいいと話していたのが印象的でした。
天然氷の苦労話
天然氷は、下層部分に新しい氷が出来ていくそうですが、初めに出来る一番上の部分は、
木屑などの自然界のゴミが付着してしまい、中に溶けて入り込んでしまうので
絶えず箒で掃き、清潔・衛生を保っているそうです。
天然氷とは言え、人の手が必要不可欠ということですね。
現地の自然の恵みである綺麗な川の水を引いて造られる氷ですから、製氷期間中に
そう滅多に降らない雪が降ったらこれはもう大変だと話していました。
初めから作業やり直しということもあるそうです。
そして大事に造られた氷が15センチの厚さになったら出来上がりだそうです。
蔵元 阿佐美哲男さん見学取材のご協力有難うございました。(^-^)